怪奇なめくじ人間

23歳のなめくじ

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地元のお世話になったライブハウスが潰れました。
このご時世だから仕方がないかなとも思いますが高校時代のライブのうち半分はこなした思い出の場所です。
ここ1年ライブもせずに毎日何もせずに生きてきた中で久しぶりに気持ちが大きく揺さぶられるようなニュースです。
正直そこのオーナーは好きではありませんでした、しかし集まってくれたお客さん、対バン、そして我々のバンドで作る空間は大好きだったんです。
キャパ100人も入らないくらいのお客さんとの距離の近いライブハウスでした。
ステージもマイクを振り上げようものなら天井に当たってしまうくらいの手狭なものです。
だからこそ生まれるお客さんとの一体感がありました。
なめくじは自分のことを好きになってくれる人間が好きです。
ここに来る人たちはわざわざお金を払って自分を見に来てくれる。
そんな人たちと近い距離でステージに立てる、そのライブハウスが好きでした。
世の中は真っ当な学生生活を送って順調に就職できる人間ばかりではありません。
事実なめくじは学生から先には進めませんでした。
でもそんな人間の居場所になるような空間でした。
世間から見たらあまり必要ではない場所かもしれません。
それでもなめくじと他の誰かの支えになっていたような小さなライブハウスです。

また1つ居場所がなくなりました。
胸を張ってここが自分のステージだと言えるような空間はもうありません。
年をとるにつれて自分の居場所がどんどん減っていきます。社会との接点がある人間はまた新しい空間で居場所を見つけることができるんだと思います。
しかしなめくじは残念なことに数少ない友人としか社会との接点がありません。
友人たちも皆就職して忙しくなります。
このまま付き合いがなくなっていく人の方が多いでしょう。
それでも残っている自分を許容してくれる空間だけは大事にしていきたいものです。
その居場所がなくなった時にどうするかは決めていないんですけど。